中国詩文研究のホームページ

311蘇東坡 浣渓沙


北宋詩人

浣渓沙  蘇東坡


@ 浣溪沙   蘇軾
西塞山邊白鷺飛,散花洲外片帆微。
桃花流水厥魚肥。

自庇一身厥笠,相隨到處獄ェ衣。
斜風細雨不須歸。


西塞の山の辺りに上をシラサギが飛んでいる、花が散っている中州のむこう側に、船が帆を斜めに片寄らせて張っている。
桃の花びらは川の流れに流れていてその流れには魚が肥えている。(のどかな風景です)。

自らの身に纏っているのは青い編み笠だ、それとともにくるのは草の葉で作った緑のミノだ。
斜めに吹き付ける風や細か雨では、帰るには及ばない。


浣渓沙
西塞 山邊 白鷺(はくろ) 飛び,
散花 洲 外 片帆(へんぱん) 微(かす)かなり。
桃花 流水  厥魚(けつぎょ) 肥ゆ。

自ら一身を庇(かば)ふ き厥笠(けつりゅう),
到る處に相ひ隨(したが)ふ 香iあを)き蓑衣(さい)。
斜風 細雨  歸るを 須(もち)ゐず。



浣渓沙:
この作品は、唐・張志和『漁歌子』  
西塞山前白鷺飛,桃花流水魚肥。
笠,獄ェ衣,斜風細雨不須歸。」 に基づいて作られた。

『漁歌子』の曲が伝わっていないので、『浣溪沙』に形を変えて歌ったと、序にある。「玄真子(=張志和)『漁父』(=漁歌子)詞極清麗,恨其曲度不傳,故加數語,令以『浣溪沙』歌之。」とその旨が述べられている。
柳宗元『江雪』
千山鳥飛絶,萬徑人蹤滅。
孤舟簑笠翁,獨釣寒江雪。

劉長卿の『逢雪宿芙蓉山主人』
日暮蒼山遠,天寒白屋貧。
柴門聞犬吠,風雪夜歸人。

西塞山邊白鷺飛:
西塞山の辺りに(ある川の上を)シラサギが飛んで(長閑(のどか)であり)。 
・西塞山:〔せいさいざん〕山の名。浙江省湖州市の南西にある。西のとりでの山の意。・白鷺:〔はくろ〕シラサギ。

散花洲外片帆微:
花が散っている中州のむこう側には、船が帆を斜めに片寄らせて張っている。  
・散花洲:〔さんかしゅう〕花が散っている中州。・外:…のむこう。 ・片帆:帆を斜めに片寄らせている。片方の帆。船が横風を受けて進めるように、帆を斜めに片寄らせて張ることを謂う。 ・微:かすかである。わずかである。

※桃花流水?魚肥:
桃の花びらが川の流れに流れていく(かのような桃花源を思わせる)川の流れには魚が肥えている(平安な環境である)。
李白に『山中問答』「
問余何意棲碧山,笑而不答心自閑。
桃花流水杳然去,別有天地非人間。

 ・桃花流水:桃の花びらが川の流れに流れていく。
・厥魚:〔けつぎょ〕けつ魚。春の魚。淡水の小魚。 江南の淡水魚。石桂魚。

自庇一身厥笠:自らの身には、青い編み笠を着け。 
・自:自分。 ・庇:〔ひ〕おおう。かばう。 ・一身:全身。 ・?笠:青い編み笠。雨具でもある。 ・?笠:〔じゃくりふ〕竹の皮で作った編み笠。

相隨到處獄ェ衣:どこまでも草の葉で作った緑のミノは、ついてくる。 
・相隨:随っていく。 ・到處:いたるところで。どこでも。 ・獄ェ衣:緑のミノ。草葉で作った雨具。 ・蓑衣:〔さい〕みの。萱、菅、藁等の茎や葉を編んで作った雨具。

斜風細雨不須歸:斜めに吹き付ける風や細かい雨(程度では)、帰るには及ばない。
 *斜風や細雨程度では、ここの笠、獄ェ衣を着けた(水辺の仙人とも謂える漁父)は意に介することなく、自然にとけ込んだままに過ごしている。 ・斜風細雨:斜めに吹き付ける風と細かい雨。 ・不須:…の必要がない。もちゐず。






   ページの先頭へ  

漢文委員会  紀 頌之